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エリザベス洋装店のブログ

植物はなぜ薬を作るのか13by斉藤和季

化学成分によって、捕食者を寄せ付けない、あるいは病原微生物を育成させないためには、その化学成分は強い生物活性を有していないといけません。生物活性とは、<生物に作用して、何らかの生体反応を起こさせること>です。例えば、動物の神経伝達を遮断して動かなくする。細胞の分裂や成長を阻害するなどの強い生物活性を示す物質は防御物質として優れているといえます。実はこの強い生物活性という性質は、よくすぐれた薬が持つべき重要な性質の一つなのです。(アトロピン)走りどころなどのナス科植物に含まれるあとロビンという成分は人間を含む動物の副交感神経を遮断するという強い生物活性を有します。アトロピンを含む植物を食べた動物は、瞳孔が散大し、目が見えにくくなったり、心拍数が増加したり、中枢が興奮し、めまいや幻覚などの症状を呈します。このような経験をした動物は二度とこの植物を食べなくなるでしょう。しかし人間は、アトロピンに特徴的な薬理作用を利用して、瞳孔を散大させたり、けいれんを鎮めるための薬として用いるようになりました。(ベルべリン)オウレンというキンポウゲ科植物の根茎を乾燥したオウレンという生薬。

植物はなぜ薬を作るのか12by斉藤和季

植物の防御物質が薬になる理由。植物の生産する化学成分が捕食者や病原菌などの生物学的ストレスから身を守り、植物の進化における化学防御戦略として極めて重要な役割を果たしたことは理解できたと思います。しかしなぜそれらの化学成分は薬として用いられることが多いのでしょうか?それは植物が生産する防御物質と薬が持つべき性質とが共通しているからなのです。その共通する性質とは、次に述べる<強い生物活性>と<豊富な化学的多様性>の二つです。

植物はなぜ薬を作るのか11by斉藤和季

第二に、病原菌に対してもその増殖を抑える抗菌性のある化学成分を作り病原菌に打ち勝つように進化しました。病原菌に対して抗菌作用のある化学成分を作る植物は、他の植物よりも病原菌に対して抵抗力が強くなり、生き残るチャンスが大きくなります。さらに第三に、光合成に必要な日光や、無機栄養塩など、生長のために必要な資源を競う他の植物との戦いに勝つためにも、他の植物の生長を抑え込む化学成分の生産をするようになりました。他の競合植物に対して、生長を阻害するような成分を作ることによって、自らの生長が優位になります。つまり、植物の進化の過程において、突然変異でそうした特異的な活性のある化学成分を作れるようになった個体がストレス環境に打ち勝って他の個体よりも生き残るチャンスをつかむ。結果的にこのような突然変異をもった個体が次世代をより多くのこすことに成功し、その植物の集団内に広がっていったと考えられます。自らの生存のためと多くの子孫を残すため、植物は化学防御物質を作るよう進化したのです。そして偶然にこのような化学防御物質を作る突然変異を獲得した個体が長い時間をかけて集団の中に広がりました。

植物はなぜ薬を作るのか10by斉藤和季

動かないという生存戦略を選択した植物は、生存を脅かす様々なストレスに襲われても動物のように逃げ出すわけにはいかないので、独自の科学的な防御戦略を発達させました。捕食者、病原菌、他の競合する植物などの生物に由来するストレス(生物学的ストレス)に対抗するために、植物は化学成分による防御戦略を発展させました。このように、捕食者から食べられないようにするために、または病原となる微生物から身を守るために、他の植物と競合するために、植物は、どのような戦略をとったのでしょう?第一に捕食者から食べられないように、植物は動物に対して苦い味や渋い味、あるいは神経をマヒさせるなどの有毒な化学成分を作るように進化しました。普段、私たちは独特の苦みのある野菜を食べることがありますが、その時のことを思い出してください。たとえば、ごーや(にがうり)をはじめてくちにしたときん、おもわずはきだしてしまいそうになったことはありませんか?もし、植物の葉や茎、種が苦かったり、渋かったりすれば、ほしく者の動物も一度はかじって見ても次からは基地にしたくはないでしょう。食べてから少し時間がたって神経麻痺や意識障害などの有害な作用を引き起こすものならば、その作用を覚えていて、やはり二度と口にはしないでしょう。このようにして、捕食者に対して有毒な成分を作る植物は生き残るチャンスが増え、より多くの子孫を残せることになります。

植物はなぜ薬を作るのか9、by 斉藤和季

太陽エネルギーと土からの栄養(同化代謝戦略)、生物の属性の一つとして、生きていくためにはいろいろな細胞を構成する物質を作らなければなりません。また運動したり、成長したりするためにはエネルギーが必要です。これが<代謝>です。<代謝が悪い>というような言葉からは、必要なものを排出すること=代謝と思いがちですが本来、代謝とは、エネルギーをやり取りしながら、生命の活動に必要なものを生体内で合成したり分解したりすることです。人間などの動物は、細胞の抗生物質やエネルギーのもととなる有機化合物を植物からとっています。そして摂取した食物を代謝(消化や変換、分解)して単純な化合物に戻し、その返還の過程でエネルギーを取り出しています。(これを異化代謝>と呼びます)。これは動物が、自ら動いて食物を獲得することができる、という性質から可能になったことです。しかし、動けない植物は動物のように動いて食物を獲得することができません。そこで、空気中の二酸化炭素と、土壌から根によって吸い上げた単純な無機塩類(窒素塩、硫酸塩、リン酸など)を使い、エネルギーを与えてアミノ酸や糖などの有機化合物を作る機能(これを<同化代謝>と呼びます)を発達させました。この同化代謝は前述の異化代謝とは逆方向の反応です。同化代謝を行う同化代謝が<光合成>です。これは動物にはない植物だけが持っている生きるための戦略です。