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エリザベス洋装店のブログ

古文書

書物とは、時空を超えて何かを伝える道具だ。とりわけ時を超える機能が重要で、そのおかげで人は死者の声を聴くことができ、さればこそ人類の文明は発展してきた。ありがたいことに、日本は大量の古典籍(ここでは明治維新以前に作られた書物をいう)を保有する古書大国だ。その大部分は江戸時代に作られたもので、二百年以上続いた平和で文化的な時代と高い識字率のおかげで、世界に誇るべき多彩な文化遺産の山が残された。それだけではない。古人の筆跡を珍重する日本人特有の美徳は膨大な肉筆資料をも保存させた。特に第三者の目を意識しない書簡は重要でより直接に古人の人間性に迫る重要な資料となっている。ところがせっかくの宝物が十分に活用されていない。最大の理由は書物や文書(もんじょ)の多くが崩し字で書かれていることだろうが、どのような資料が存在するのか簡単には情報を把握しにくい点も、その一因となっている。しかしてこの数年、古典籍の画像データベースが急速に進展し、国会図書館や国文学研究資料館をはじめとする図書館から、古書の精細な画像がネット上で公開されている。早稲田大学図書館が提供してくれる書簡資料群の画像は驚異的な豊かさだ。これらを契機として、古書や古文書の世界に直接親しむ人が増えれば、文化の質が変わる可能性がある。