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エリザベス洋装店のブログ

三島由紀夫のねじれた生い立ちbyジェニフェールルシェール5.

苦痛、欲求不満、情緒不安定といったものが、虚弱なこの女性を一人の暴君へと変えていく。三島の半自叙伝的小説<仮面の告白>の中で、祖母の痼疾が定太郎から移された淋病の結果だとほのめかしている。夏子の虫の居所が悪いと、酒の香りを漂わせて帰宅した定太郎を迎えるのは罵詈雑言の嵐だった。そうでないときでも夏子は、布団の中で、怒りを抱えて丸くなったまま喰いしばった歯の間から、呪詛(じゅそ)を吐き出していた。穏やかならざるこの夫婦間に生まれた一人息子が三島の父となる梓(あずさ)である。両親にさんざん悩まされた梓は、社会に出るに当たり、なんとしてでも親とは正反対の人間になろうとする。生真面目で頑固一徹、人と群れることはせず、人間嫌いの気がある男。父親の人付き合いの良さを反面教師として、うわべだけの人間関係に現(うつつ)を抜かすことはない。