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エリザベス洋装店のブログ

ラプソディインブルーに秘めたユダヤ人ぽさはガーシュインにあった。

ポーランドやハンガリー、ルーマニアなど北欧諸国からニューヨークへ移民したユダヤ人が持ち込んだ音楽はクレツマーと呼ばれ、ガーシュインが育ったイーストビレッジのようなユダヤコミュニティ内のシナゴークやイーディッシュシアターを中心に演奏されていた。<クレツマーパイオニアズ>というタイトルのCDに20世紀のはじめから20年代にかけて、ニューヨークのイーストヴィレッジやポーランドのワルシャワ、ルーマニアのブカレストなどのユダヤ人コミュニティで録音されたクレツマー音楽を復刻したもので、ジプシーの音楽とも共通する物悲しく、暗いメロディと結婚式の祝賀音楽など、にぎやかなゲットー生活の活気を伝える音楽を聴くことができて大変興味深い。クレツマー音楽では、バイオリンとクラリネットが主要な楽器として使われており、特にクラリネットの馬やロバなど家畜動物の鳴き声をほうふつさせる音の下品でユーモラスな運動性に,オリジナルディキシーランドジャズバンド、特に1917年にレコーディングされ空前の大ヒットとなった<リプリーステイーブルブルース>や<ラプソディインブルー>におけるクラリネット双方との共通性が聞き取れる。ガーシュインは<ラプソディインブルー>の冒頭に、クラリネットのソロを持ってくることによって、自らのユダヤ的アイデンティティの証としてクレツマー音楽的特性を刻印したことになる。オリジナルディキシーランドジャズバンドから<ラプソディインブルー>につながるプレジャズ時期のジャズの展開に、クレツマー音楽とユダヤ系ミュージシャンがどうつながってかかわっていたかはジャズ成立の根幹にかかわる大変興味深い問題である。あの10年代から20年代のはじめ、いろいろなものがウキウキざわざわと、浮かれたようににぎやかに、飛んだり跳ねたり、踊ったり立ち止まっておしゃべりしたり、泣きわめいたりしているニューヨークのゲットーストリート、そのライブで、ワイルドでしかもブルーな雰囲気をそのまま持ち込んだのが<ラプソディンインブルー>なのである。