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エリザベス洋装店のブログ

怨霊鎮魂について

東京上野公園のシンボルといえば、身長370センチに及ぶ巨大な西郷隆盛像である。それを見たアメリカ人観光客は、アメリカ建国の父、ワシントンやアメリカを超大国にしたルーズベルトのごとき偉大なる国家功労者に違いないと思うであろう。確かに西郷隆盛は東征軍の総大将として260年にわたり日本を支配してきた徳川幕府を倒し、明治維新に貢献した英雄に違いないが、それ以上に彼は西南戦争という反乱を起こして官軍に敗れ、切腹した敗残の将である。外国人観光客は、なぜそのような敗残の将の像があえて巨額の費用を投じて作られたのか、疑問を抱くかもしれない。しかし日本文化の伝統から見れば、それは至極当然のことである。京都の祇園祭は、政治的に非業の死を遂げて国家に怨念を抱いているに違いない早良親王ら6人の霊を、大阪の天神祭は讒言によって大宰府に流された、恨みをのんで死んでいった菅原道真の霊を、東京の神田祭も、日本国家を恨んでいるに違いない反逆者、平将門の霊を慰めることによって厄難を防ぐことを祈る祭りである。日本人に古くから親しまれている赤穂浪士の吉良邸討ち入りの物語も怨霊鎮魂の話である。勅使接待役であった(田舎大名)の浅野内匠頭が礼儀作法の師というべき吉良上野助に切りつけ、城中で刃傷に及んだ罪で切腹させられた。浅野家家臣たちは、不公平な裁きにより無念の死を遂げた主君のカタキを見事に打ち、主君の墓前に吉良の首を備えるという(忠臣蔵)はまさに怨霊成仏の演劇と言えよう。日本にはこのような怨霊の歴史が貫いている。日本の溶解文化も長い歴史を持ち、現在も妖怪研究関連の書籍の出版が盛んである。漫画家の水木しげるは妖怪漫画で一世を風靡したといえる。この妖怪は明るくユーモアに富む存在であるが、怨霊は日本文化の闇の深層を物語るものである。そのような怨霊の列伝を調べることによって、日本の歴史を語ることができるであろう。