SHOP BLOGアソビねっブログ

エリザベス洋装店のブログ

でんでんむしの悲しみ by 皇后美智子さま

まだ小さな子供であった時に、一匹のでんでんむしの話を聞かせてもらったことがありました。不確かな見送ですので、今、おそらくはそのお話のもとはこれではないかと思われる、新美南吉の<でんでんむしのかなしみ>に沿ってお話しいたします。そのでんでんむしはある日突然、自分の背中ンおからに、悲しみがいっぱい詰まっていることに気づき、友達を訪ね、もう生きていけないのではないかと、自分の背負っている不幸を話します。友達のでんでんむしは、それはあなただけではない、私の背中の殻にも悲しみはいっぱい詰まっていると答えます。小さなでんでんむしは別の友達、また別の友達と尋ねていき、同じことを話すのですが、どの友達からも返ってくる答えは同じでした。そして、でんでんむしはやっと悲しみは誰でも持っているのだということに気づきます。自分だけではないのだ。私は私の悲しみをこらえていかなければならない。この話はこのでんでんむしが、もう嘆くのをやめたところで終わっています。しかしこの話は、その後何度となく、思いがけない時に私の記憶によみがえってきました。から一杯になるほどの悲しみということと、ある日突然、そのことに気づきもう生きていけないと思ったでんでんむしの不安とが、私の記憶に刻み込まれていたのでしょう。少し大きくなると、初めて聞いた時のように<ああよかった。だけでは済まされなくなりました。生きて行くということは、楽なことではないのだという、何とはない不安を感じることもありました。それでも、私は、この話が決して嫌いではありませんでした。