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エリザベス洋装店のブログ

戦中の山羊の世話と乳搾り by 皇后美智子様

私が小学校に入るころに戦争がはじまりました。昭和16年(1941年)のことです。四学年に進級するころには戦況が悪くなり、生徒たちはそれぞれに縁故を求め、または学校集団として田舎に疎開していきました。私の家では父と兄が東京に残り、私と妹と弟とともに、母に連れられて海辺に、山に、住居を移し、三度目の疎開先で終戦を迎えました。たびかさなる移居と転校は子供には負担であり、異なる風土、習慣、方言の中での生活には戸惑いを覚えることも少なくありませんでしたが、田舎での生活は、時に病気がちだった私をすっかり健康にし、私は蚕を飼ったり、草刈りをしたり、時にはゲンノショウコとカラマツ草をそれぞれ干して4キロずつ供出するという、宿題のノルマにも挑戦しました。8キロの干し草は手では持ち切れず、母が背中に追わせてくれ、学校まで運びました。牛乳が手に入らなくなり、母は幼い弟のために山羊を買い、その世話と乳搾りを私に任せてくれました。教科書以外にほとんど読む本のなかったこの時代に、たまに父が東京から持ってきてくれる本はどんなにうれしかったか。冊数が少ないので、惜しみ惜しみ読みました。そのような中の一冊に、今題は覚えてないのですが、子供のために書かれた日本の神話伝説の本がありました。にほんのれきしのあけぼののようなこのじだいを物語る神話はどちらも8世紀に記された二冊の本、古事記と日本書紀に記されていますから、恐らくはそうした本から、子供向けに再話されたものだったのでしょう。