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エリザベス洋装店のブログ

民族共通の先祖 by 皇后美智子さま

父がどのような気持ちからその本を選んだのか、寡黙な父から、その時も、その後も聞いたことはありません。しかし、これは今考えると、本当によい贈り物であったと思います。なぜなら、それから間もなく戦争が終わり米軍の占領下におかれた日本では、教育の方針が大幅に変わり、その後は歴史教育の中から、神話や伝説は全く削除されてしまったからです。私は自分が子供であったためか民族の子供時代のようなこの太古の物語を大変面白く読みました。今思うのですが、一国の神話や伝説は、正確な史実ではないかもしれませんが、不思議とその民族を象徴します。これに民話の世界を加えると、それぞれの国や地域の人々が、どのような自然観や生死観を持っていたか、何を尊び、何を恐れたか、どのような想像力を持っていたかなどが、うっすらとですが感じられます。父がくれた神話伝説の本は、私に個々の家族以外にも、民族の共通の祖先があることを教えたとという意味で、私に一つの根っこのようなものを与えてくれました。本というものは、特に子供にも安定の根っこは、かすかに自分の帰属を知ったというほどのもので、それ以後、これが自己確立という大きな根に少しずつ育っていく上のほんの第一段階に過ぎないものではあったのですが。