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エリザベス洋装店のブログ

植物はなぜ薬を作るのか12by斉藤和季

植物の防御物質が薬になる理由。植物の生産する化学成分が捕食者や病原菌などの生物学的ストレスから身を守り、植物の進化における化学防御戦略として極めて重要な役割を果たしたことは理解できたと思います。しかしなぜそれらの化学成分は薬として用いられることが多いのでしょうか?それは植物が生産する防御物質と薬が持つべき性質とが共通しているからなのです。その共通する性質とは、次に述べる<強い生物活性>と<豊富な化学的多様性>の二つです。

植物はなぜ薬を作るのか11by斉藤和季

第二に、病原菌に対してもその増殖を抑える抗菌性のある化学成分を作り病原菌に打ち勝つように進化しました。病原菌に対して抗菌作用のある化学成分を作る植物は、他の植物よりも病原菌に対して抵抗力が強くなり、生き残るチャンスが大きくなります。さらに第三に、光合成に必要な日光や、無機栄養塩など、生長のために必要な資源を競う他の植物との戦いに勝つためにも、他の植物の生長を抑え込む化学成分の生産をするようになりました。他の競合植物に対して、生長を阻害するような成分を作ることによって、自らの生長が優位になります。つまり、植物の進化の過程において、突然変異でそうした特異的な活性のある化学成分を作れるようになった個体がストレス環境に打ち勝って他の個体よりも生き残るチャンスをつかむ。結果的にこのような突然変異をもった個体が次世代をより多くのこすことに成功し、その植物の集団内に広がっていったと考えられます。自らの生存のためと多くの子孫を残すため、植物は化学防御物質を作るよう進化したのです。そして偶然にこのような化学防御物質を作る突然変異を獲得した個体が長い時間をかけて集団の中に広がりました。

植物はなぜ薬を作るのか10by斉藤和季

動かないという生存戦略を選択した植物は、生存を脅かす様々なストレスに襲われても動物のように逃げ出すわけにはいかないので、独自の科学的な防御戦略を発達させました。捕食者、病原菌、他の競合する植物などの生物に由来するストレス(生物学的ストレス)に対抗するために、植物は化学成分による防御戦略を発展させました。このように、捕食者から食べられないようにするために、または病原となる微生物から身を守るために、他の植物と競合するために、植物は、どのような戦略をとったのでしょう?第一に捕食者から食べられないように、植物は動物に対して苦い味や渋い味、あるいは神経をマヒさせるなどの有毒な化学成分を作るように進化しました。普段、私たちは独特の苦みのある野菜を食べることがありますが、その時のことを思い出してください。たとえば、ごーや(にがうり)をはじめてくちにしたときん、おもわずはきだしてしまいそうになったことはありませんか?もし、植物の葉や茎、種が苦かったり、渋かったりすれば、ほしく者の動物も一度はかじって見ても次からは基地にしたくはないでしょう。食べてから少し時間がたって神経麻痺や意識障害などの有害な作用を引き起こすものならば、その作用を覚えていて、やはり二度と口にはしないでしょう。このようにして、捕食者に対して有毒な成分を作る植物は生き残るチャンスが増え、より多くの子孫を残せることになります。

植物はなぜ薬を作るのか9、by 斉藤和季

太陽エネルギーと土からの栄養(同化代謝戦略)、生物の属性の一つとして、生きていくためにはいろいろな細胞を構成する物質を作らなければなりません。また運動したり、成長したりするためにはエネルギーが必要です。これが<代謝>です。<代謝が悪い>というような言葉からは、必要なものを排出すること=代謝と思いがちですが本来、代謝とは、エネルギーをやり取りしながら、生命の活動に必要なものを生体内で合成したり分解したりすることです。人間などの動物は、細胞の抗生物質やエネルギーのもととなる有機化合物を植物からとっています。そして摂取した食物を代謝(消化や変換、分解)して単純な化合物に戻し、その返還の過程でエネルギーを取り出しています。(これを異化代謝>と呼びます)。これは動物が、自ら動いて食物を獲得することができる、という性質から可能になったことです。しかし、動けない植物は動物のように動いて食物を獲得することができません。そこで、空気中の二酸化炭素と、土壌から根によって吸い上げた単純な無機塩類(窒素塩、硫酸塩、リン酸など)を使い、エネルギーを与えてアミノ酸や糖などの有機化合物を作る機能(これを<同化代謝>と呼びます)を発達させました。この同化代謝は前述の異化代謝とは逆方向の反応です。同化代謝を行う同化代謝が<光合成>です。これは動物にはない植物だけが持っている生きるための戦略です。

植物はなぜ薬を作るのか8by斉藤和季

植物は私たち動物とは違って、素早く動くことや移動することができません。しかし。46億年の地球の歴史の中で、陸上植物は5億年を生きてきています。私たち人間の遠い祖先(ヒト族ホモ属)が200年前に誕生し、私たちと同じ種であるホモサピエンスが誕生したのが40万~25万年前とすれば、陸上植物には私たち人間の約1000~2000倍も長い生命の歴史があります。陸上職物の祖先とされる藻類の歴史はもっと古く、30億年前から生存していたと考えられるので、より長い進化の道筋をたどって生きてきたといえます。植物はこのような長い歴史を生き抜くために戦略を立て、実行して、トライアルアンドエラーをくりかえしながら、進化する必要がありました。特に、植物が、土に根を生やして移動しないという基本的な生き方を選択した段階で、動くことができる動物とは異なった生存戦略が必要だったのです。生命が持つべき属性として、動物、植物を問わず生命が持つ属性、すなわち生命体に共通して備わっている性質や特徴とは何かを考えてみましょう。生命の定義やもつべき属性といってもその論議はそう簡単なものではありません。しかし、共通の理解としては1、自らの生存と成長のために物質代謝、エネルギー代謝ができること2、自らを複製して次世代に受け継ぐことが挙げられます。この二つの属性を有し、生命として成り立つために<動かない>という選択をした植物独自の生存戦略を発達させました。それが結果的に植物が多くの薬を私たち人間にもたらすことにつながったのです。ここでは、薬のもとになる植物の作る化学成分(代謝の結果できる物質ですので<代謝産物>とも呼ばれます)の観点から植物が独自に発達させた三つの生存戦略を見ていくことにしましょう。その三つとは次に述べる、同化代謝戦略を見ていくことにしましょう。その三つとは次に述べる、同化代謝戦略科学防衛戦略、繁殖戦略です。